ケヴィン ケリー <2>
1)面白い本だと思う。今年2021年に読んだ本の中のベスト3に入るだろう。とはいうものの、他の本といえば「スピリット・オブ・ロードスター」くらいなもので、三冊目がうかばない。いかに読書というものから離れてしまっているか、という証左である。
2)ケヴィン ケリーについてはここで繰り返すこともあるまい。当ブログにおいては、すでに十分紹介し、吟味し、肯定も、否定もして来た。是々非々で議論するには、格好なまな板と言える。
3)私と圧倒的に違うのは、彼が自らを評するのに、楽観主義者というところだ。かつて「ウェブ2・0」の梅田望夫が楽天主義と標榜した語彙とほぼ同義だろう。語源はオポチュニズムoptimismだろうか。
4)そういった意味においては、私は楽観主義者でもなければ、悲観主義者でもない。あえていうなら現実を直視するリアリストとでも対置しておこう。例えば原発に対して、ケヴィン ケリーほど、私は楽観主義者にはなれない。例えば地球環境問題にも、私はむしろ悲観的だ。
5)その分岐点が、ケリーをしてイノベーション世界のウォッチャーに留まらせ、私をしてスピリチャリストへと押しやる。私の深い内部には、決定的な絶望がある。全ての望みが断絶している。
6)ケヴィン・ケリー世代、という表現がこの本にあった。そのような意味では私もそに同世代である。時代体験も似ているし、やって来たことも、指向性としては同傾向にある。だが、もうすでに、どこかで分岐点を過ぎてしまった今、もう後戻りはできない。
7)廃物アートの造形を楽しみ、午後を一歳児の孫と二人だけの時間を過ごし、時には市民農園の野菜づくりに汗を流す。月に何度かは禅寺に赴いて静かに座る。こんな私に、あと5000日などという誤魔化しはいらない。
松島の島を巡りし孫と秋 把不住
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