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2020/11/05

「聖者たちのインド」島岩他 <3>

<2>よりつづく 

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「聖者たちのインド」<3>
島 岩 (編集), 坂田 貞二 (編集) 2000/10 出版社 : 春秋社 単行本 : 287ページ 
★☆☆☆☆

1)決して気はすすまないけれど、もう一度この本に目を通すことになった。つまりWikipediaにおいて、M氏は4月29日に、「バグワン・シュリ・ラジニーシ」のページを編集(改ざん)するにあたって、まずこの本から引用することから始める。二日目の4月30日には「現代社会とスピリチュアリティ」(伊藤ニルドッシュ雅之、2003)が引用される。いずれにせよ、今から10数年前発行、編集内容は、オウム事件の影響が色濃く残る前世紀末から始まる、「古書」の類のものだ。

2)もし、ここが、例えば中川パーバン吉晴2016年文献あたりから始まっているのなら、もっとまともな編集(改良)になっていただろう。

3)この手の本を読み通せないほどではないが、あちこちが気になって、信憑性を疑ってしまわざるを得ないことが多い。例えば、著者の足沢一成といういう人物のWikipedia的検証性から考えると、不明瞭な点が多すぎる。まず、名前を検索してみると足一成では出てこない。足一成なのである。

4)小さなこととも思えるが、これは署名記事なのである。自ら署名するのにまず略字から入るというのはどういうことだろう。また、読み方も、一般に「いっせい」と読ませているにもかかわず、自分が書いていると思われるWeb記事では「kazunari」と表記している。もし、Wikipedia上で編集バトルが起きた場合、この一点だけでも、大変な論点となるだろう。

5)一般には、そんなことはどうでもいいだろう、レベルなことではあるが、現在、Wikipedia上では、OSHOなのかOshoなのか、あるいはラジニーシなのか、などと、喧々囂々の議論が続いている。重要な引用先としては、その文献を疑うに、重要な確認事項にさえなりかねない。

6)本文についても、たくさんあるが、例えば次のような表現はどうだ。

・ラジニーシの死とコミューン
 九十年、ラジニーシは死んだ。教団は、アメリカ政府が拘留中のラジニーシの食べ物に効き目の遅い毒を盛ったせいであると述べているが、死体はその日のうちに荼毘に付されており、その真偽は不明である。(足沢(澤)一成)p93

 さぁ、どうだろうか。教団、という表現もいただけないが、食べ物に効き目の遅い毒を盛ったせい とは、私自身は初めて聞いた内容だ。椅子の下にでも、放射性物質を置いたのではないか、 とは聞いたことがあるが、もし新事実の発見なら、そう併記すべきであろう。

 その日のうちに荼毘に付 されたからと言って、そのことに、司法解剖を受けなかったのは、その証拠を隠滅させるためだった、というようなニュアンスが込められているとするならば、これは、中立的、かつ検証性の高い文献とはいいがたい 。まさに独自研究の最たるものだろう。

7)そもそも、この記事自体が4冊の「参考文献」から成り立っているかのような表現がされているが、この出典だけでは、この30ページにわたる文章は作成できないだろう。ましてやプネー大学に在学したことがあり、おそらくOshoリゾートを数回程度訪問したことがあるかもしれない「インド古典文学理論専攻」のPh.Dが、権威を持ってレポートしうる内容であるだろうか。このような文献が、基礎となって、あのWikipediaの記事は成り立っているのである。

8)ここまでくれば、決して足沢(澤)だけが誤認したわけじゃなく、引用したM氏だけが誤用したわけじゃなく、Wikipediaそのものの成立基盤さえ、疑わしい、ということになりかねない。まぁ、はっきり言って、もうどうでもいいことなのだ。普通なら、ここで手を引いて、自分の好きな趣味の世界にでも遊んでいたくなる。

9)しかしまぁ、ここまで乗りかかった舟だ。もうすこし呉越同舟することとする。

つづく

 

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