「五重塔」幸田 露伴<3>
「五重塔」<3>
幸田 露伴 (著) フォーマット: Kindle版 ファイルサイズ: 282 KB 紙の本の長さ: 57 ページ
★★★★★
五重塔と言えば、幸田露伴である。前回4年前も何度も聞いた。作業をしながら、何度聞いても楽しかった。そうそう読んだわけではない。読み上げのCDをiPhoneに入れ、3巻に別れた放送を何度も何度も聞いたのである。ストーリーは分かった。されど、細かいデティールは、放送では聞き取れないことも多い。
されど、五重塔を作りながら、バラエティ番組を聞く、というのもちょっとおかしい。本を読むなら、作業はできない。やっぱり、耳から五重塔を聞くのだ。木目のことや、木質のこと、江戸時代の風習や当時の仏教状況など、なんと幸田露伴という人は詳しいのだろう、とビックリする。
で、今回もやっぱり聞き始めた。源太親方に、のっそり十兵衛、いずれおとらぬ腕の持ち主だ。寸分たがわぬ大工さばきに、ほれぼれしながら、ああ、こんな形で私も作れたらいいなぁ、と思いつ、ノコを使い、ノミを打ち、糊を貼る。
と、ちょっと浮かれていたかもしれない。ふと気づいてみれば、私は大きな間違いをしていた。いや、キチンと寸法は図ったのだが、状況に合わせて、少し少し調整しつつ、前に進んでいかなければならない。その調整を間違ってしまったようだ。うぁ、参った。
小手先で修正しようと思ったが、いやいやそう簡単にはいかない。始まったばかりの今、早めに気づいたのが幸運だったと思って、納得するしかない。作業はバックだ。数日分、やり直しだ。やり直しがきく範囲で気づいてよかったではないか、と自分を慰める。
いくら幸田露伴の「五重塔」だからと言って、心ここにあらずでは困る。アゥアネスが必要である。覚めていよ。バヴェシュ、いるかい?
幸い、パンデミックの第一波もやや収まりかけて、秀麓齋やみんなの寺小屋での参禅も本格的に再開しつつある。ここで軌道修正。今、ここ、で、この五重塔に対峙しよう。 くわばらくわばら。
この逆戻りで、数日分の作業は失ってしまったが、これからの作業を考えれば、ここで気づいたのが良かった。これを気づかずに、もっと進んでいたら、もう取返しのつかないことになっていた。基礎の基礎の部分である。まだ体が五重塔になっていない。一体となって、溶け込むほどのクリアさが必要だ。
つづく
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