「京都人の密かな愉しみ」源孝志 他 <9>

「京都人の密かな愉しみ」 <9>
NHK「京都人の密かな愉しみ」制作班+源孝志 (監修) 2018/03 宝島社 単行本: 186ページ
★★★★★
せっかく5本のDVDが揃っていることだし、そもそもが藤沢三八子がメインストーリーとなっているかぎり、他のオムニバスドラマをぶっ飛ばし、一本の単作としての「藤沢三八子」ストーリーだけを追っかけたら、どうなるだろう。
1、エピソード1
オープニング 人類学者エドワード・ヒースローの京都人への関心
第一章 立冬 老舗和菓子屋の娘・藤沢三八子の登場 母親も重要
第二章 小雪 京都人の悩み 京都の歴史 暮らし 月の力
第三章 大雪 ヒースローの京都への視点と関わり 三八子との出会い
エンディング 庶民と宗教の関わり 若雲水の存在の気配
オムニバスとは言え、ドラマひとつひとつがぶち切れているわけではなく、とくにヒースローは、京都一般の文化への関心を持ち続け、その中心としての三八子に心惹かれる。そして、その三八子に大変な秘密があること察し始める。
2、夏
オープニング 前作のダイジェスト 英国、アカデミズム、
第一章 夏至 母・鶴子の願い。和菓子屋の機能、雲水・異母弟の悩み
第二章 小暑 祭り。縁結び、縁切り。京都人の知らない言い伝え。
第三章 大暑 食。雲水と女将の関わり。女将の直観。
エンディング 謎の英国女性の登場。ヒースローの秘密の予感。
全編として言えることは、とにかくこのドラマは食に関わり続けているということである。「手ぇも動かはる・・・」シリーズ」があることもでもわかるが、食に興味があるならば、このドラマは魅力倍増ということになるだろう。そのうち、一度、反省を込めて、そちらからの視点で、このドラマを再見しよう。
3、冬
オープニング 英国女性からみた日本の奇妙な風景。言語学者エミリー。
第一章 小寒 ヒースローの秘密。英国式いいなずけ? ほんとかいな。
第二章 大寒 徹底した食へのこだわり。聖護院大根。おいしいけどね。
第三章 立春 エミリーの疑問。エミリーと三八子の大接近。
エミリーによれば、人間には二種類あるという。京都が好きな人と、嫌いな人。私はどっちだろう。正直言えば、私は、京都が嫌いな人。18歳の時、ヒッチハイクで日本一周した。一番ヒッチがやりにくいのは京都だった。全然捕まらない。道端で一休みしている時などは物好きそうな視線を向けてくるのに、なにかあると、さっと蜘蛛の子をが逃げ出すようにいなくなる。その反対に、ヒッチが一番やりやすかったのは北海道だった。
あの夏の暑さもたまらない。神社仏閣もありすぎでしょう。でも日本海の京都はいいかな。モンジュ君の出身地だ。この冬編にはエンディングがなかった。
4、月夜の告白
オープニング 本編・白露と一体になっていて、短い。
第一章 白露 パリの元・不倫の彼。雲水と女将との距離感。老師の登場。
第二章 秋分 和菓子の蘊蓄。言語学者エミリーの講義。三八子とエミリーの接近。
第三章 寒露 寺男となったヒースロー。若雲水の不思議な運命。久楽屋の行方は。
エンディング ほとんど唄「京都慕情」だけ。僧形となったヒースローの帰還。
今まで見ていなかったシーンがあちこちに。テレビ番組の録画と、DVDでは、編集が違うのか。ここまでくると、最初バラバラだったストーリーが一つにまとまりだす。異母姉弟たちのつながり。出家した弟。このドラマに通じる、弁護士、人類学者、言語学者、医者、といった高踏な視点からのはったり。かなわぬ願い。女将の直観! 銀粉蝶は、このドラマの魅力の大きな柱だ。
5、桜散る
第一章 清明 初候 玄鳥至 久楽屋の終焉近し。パリの元不倫相手、再登場。ヒースローの失敗。
第二章 清明 次候 鴻鴈北 女将、初めて知る秘密、二つ。山寺の想定外の展開。迫る女将。逃げる雲水。
第三章 穀雨 初候 葮始生 出会い。再開。出発。感謝。
何回も見ているドラマだが、章立てには見たこともない、読み方さえわからない言葉が登場していた。玄鳥至(つばめきたる)。 鴻鴈北(こうがんきたにかえる)。葮始生(あしはじめてしょうず)。
このドラマの魅力はもちろん、三八子、そして女将の女っぷり。そして京都という世界のさまざまなこと。男もいろいろ登場する。ヒースロー。菓子職人。久楽屋6代目。雲水(清哲)。元不倫パリ男。山寺の老師。私なら、どの立場になるだろう。一番はやっぱり三枚目男ヒースローが一番近いか。いや、もっと若ければ清哲か。あの純粋さを、私もまったく持っていないとは言えない。そして、いずれは、山寺の老師もいいかも。いやいや、どれも立派過ぎる。私は私でいいのだ。
このドラマの本当の魅力は、恋、だな。恋する心。人間が好きなんだな、とお互い確認することとなる。
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