小説・ある日突然(仮題)<1>
小説・ある日突然(仮題・編集中)1
ある日突然、朝早く。訪問者があった。何やら手帖らしきものを見せて、数人の屈強そうな男が狭い玄関に入り込んできた。なんだなんだ? とにかく部屋に入れろという。ふむ・・? そもそも小さな平屋の一軒家である。それほど空き部屋もないが、いつも訪問者やカウンセリングなどに使っている六畳ほどの部屋に通した。
分かったか、ほにゃらら違反で、家宅捜査するという。???? 何言ってんだ、こいつら。そもそも、狭い一枚のスチールドアとは言え、いつも夜間は鍵をかけているはず。確かに玄関のチャイムは鳴ったが、こいつら、オレが中から鍵を開けようとしたその途端、外側にドアを開けて、押し入ってきたんじゃないか。
おかしい。どうもおかしい。何が起きてんだ。3人の男たちの一番屈強そうで年上そうな男、40か50・・? 目つきだってそうとう悪い。「子供たちを早く学校にやれ・・・・?」 なんだこれ・・?
子供たちは、小学3年と1年。なにがなにやら分からないはずだ。別な部屋で朝食を摂って、行ってきまーす、と玄関をでて行った。一年生の男の子はほとんどなにも気がつかず元気にでていった。3年生の女の子は、それでも何かおかしいな、といぶかりながらも行ってきます、と静かに赤いランドセルを背負ってでていった。
灰皿はどこにある? なんでそんなことを聞くんだ? オレは、もう煙草なんか吸ってないよ。だいたい、友達が来たって、煙草は家の中では吸わせない。こんな狭い家では誰かが煙草を一本吸うと、数日は臭くてたまらない。こいつら、うちで煙草吸うつもりか?こいつらの不思議なことは、屈強な体をしながら、窮屈そうに正座している。座布団も出していないのに、ようやるわ。
子供たちがでて行ったあと、名前を確かめられ、彼らが訪問してきた理由を伝えてきた。ん? 分からん。こちらも何もわからずに顔を出した女房殿は、一旦ドアを開けて人数を確かめたあと、人数分の茶道具をもってきた。お菓子などない。そもそもないのだ。葬式の法事かなにかでもらった緑茶を、ちょっと温めの魔法瓶を添えて持ってきた。彼女も何が起きているのか、理解していない。
こいつらは警察、刑事たちなのだ、ということが次第に分かってきた。なにかのテレビ番組で見たことあるような、ないような。ちょっと雰囲気は違うが、きっとそうなのだ。若そうな二人は20代だろうか、30を超えているだろうか。明らかに若手で、ボスの手下だ。
なにか手荒なことはしそうにないな、ということは、正座の姿から理解したが、それでも、目つきと言葉使いは、明らかに、こちらを何かの犯人扱いなのだ。明らかにこちらに落ち度があるらしい。ふむふむ、それは一体何なんだ?
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