<1>からつづく

「道元」京都・宗祖の旅 <2>
百瀬 明治 (著) 1990/12 出版社: 淡交社 ハードカバー: 149ページ
★★★★★
実にコンパクトながら、この一冊で、道元が分かってしまったような気分にさせてくれる良書。道元ばかりではなく、仏陀やマハカーシャップ、達磨、慧能、などなどの禅の系譜、そして道元が生きていた鎌倉時代の、時代背景や、他の宗祖のうごめきも感じられるようにできている。
さらにはその足跡などを、遺跡や現存する寺院の紹介があり、タイトルどおり、京都あたりの観光ガイドにもなっているのが、愛されているのだろう。
道元は、祖祖の禅を法嗣するといいつつ、道元独自の純化、読み替え、浄化などを行っており、その独自性が、各所に見られるところが、刮目すべき点である。
他の道元ヨイショの本だけでは、なかなか分からない全体像が、実にシンプルに紹介されていて、これはわたし的には買いだな。ただし、これだけシンプル化されると、いかにもともとがシンプルな道元とは言え、かならずそぎ落とされてしまった雑味があるはずなのであり、それらを見落としてしまう危険性もある。
道元のことをますます好きになる一冊である。
<3>につづく
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