「やまと尼寺 精進日記」NHK制作班
「やまと尼寺 精進日記」
NHK「やまと尼寺精進日記」制作班 (著) 2018/07出版社: NHK出版 単行本(ソフトカバー): 128ページ
No.4381★★★★☆
私は一人暮らしになって、三度三度の食事を自分で準備しなければならないような境遇になったら、いよいよオヤジ料理教室にでも通うかな、とは思ってみるが、そもそも、男子厨房に入るべからずの家風の中で育ったものだから、料理のセンスはまったくない。
それでも若い時分は、みんなで共同生活をしていたりしていたから、一通りの台所仕事はするが、あまり味とかにはこだわらない。むしろあっけないほどの山賊料理である。人参を鉛筆みたいに削って煮立ったお湯にいれたり、玉ねぎはぶつ切り、うどんは煮込み専門、と、まぁ、腹の足しになればいいか、というような男仕事である。
こんなこと言ったら、典座を大事にした道元禅師に一喝されてしまうのだろうが、まぁ出家ならざる身、そこそこ許していただきましょう。その代わり、目の前にないものを食べたがらないし、毎回、食事を準備してくれた人々には感謝していただいております。
さて、このテレビ番組は、たまにチャンネルが合って、見かけることはあるが、まともに拝見したことはない。禅や寺の番組となると、どうも私は、もうすこし、型苦しいニュアンスがお好きなようである。
ところが、わが家の奥さんは、型苦しい番組はあまりお付き合いしてくれないが、こちらの尼寺シリーズには、結構ほれ込んでいるようで、この本は、奥さんが図書館から借りてきたもの。なるほど、もう、食べ物のことで満載のシリーズである。
12月には蝋八接心の時、輪王寺からいただいてきた銀杏の実を、わが家の奥さんは大事に大事に、何回にも何回にも分けて食卓に出してくれる。この銀杏のことが、この本に載っていたことが、ひょっとすると、この本を借りてきたご縁なのかもしれない。あるいは、ご本人も、尼寺に出家することを考えているのかな・・・・?
住職の庵主さんは修行を終えて38歳の時に、この無人のやぶれ寺に入ってきて、ひとつひとつ立て直されたそうだ。副住職さんは、学校のスクールカウンセラーもやっているとか。
突然、お茶の間に流れてきても、ぜんぜん違和感のない番組だが、これはNHKの企画の勝利。お寺らしいお寺の修行の場面などまったく出てこないが、おそらく、撮影されたり、この本にでてこない面では、それなりの宗教的世界が展開されているのだろうなぁ、と想像したりする。
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