人新世
「人新世とは何か 」―〈地球と人類の時代〉の思想史 (日本語)
クリストフ・ボヌイユ (著), ジャン=バティスト・フレソズ (著), 野坂しおり (翻訳)2018/3/20 出版社: 青土社 単行本(ソフトカバー): 421ページ
No.4355 ★★★☆☆
「現代思想」 2017年12月号 人新世 ―地質年代が示す人類と地球の未来―
ブルーノ・ラトゥール (著), ダナ・ハラウェイ (著), ティモシー・モートン (著), 中村桂子 (著), 北野圭介 (著), 篠原雅武 (著), & 3 その他 2017/11 出版社: 青土社 ムック: 245ページ
No.4356★★★☆☆
「日経サイエンス」特集人新世アントロポセン
2017年1月号 (日本語) 雑誌 – 2016/11/25 特集人新世アントロポセン 日本経済新聞出版社; 月刊版 (2016/11/25) 雑誌
No.4357 ★★★☆☆
人新世、という単語、放送大学の資料で初めて知った。どうやら地質学的な時代分類からでてきた名前のようで、もちろん現代を表しているが、さてどこから始まっているか、というと明確ではないが、ごく「最近」のことであるらしい。こまかい分類や定義づけは当ブログの不得意とするところであり、あまり必要な部分でもない。
それでも気になるキーワードなので、近くの図書館を検索してみると、三冊の関連書がヒットした。まずは、面倒くさそうな歴史ものが一冊。さらに面倒そうな「現代思想」誌の特集号が一冊。そして極めつけがサイエンス雑誌である。特集号や別冊など取り交ぜていろいろありそう。
人新世とは「ひとじんせい」と読むらしいが、そもそもは英語Anthropocene(アントロポセン)の翻訳語であろう。Anthroとは、獣としての人間、という意味に近いようだ。人類学はAnthropologie(アンソロポロジー)の翻訳語である。
そしてポセンと聞くと、なんだか語感からポセイドン・アドベンチャーを思い出すが、スペルがPoseidonだし、ギリシャ神話の海の神様らしいから、ちょっと的外れか。pocene で検索すると、 ほとんどAnthropocene がっ引っかかってくるから、このことば独特の接尾語であるかもしれない。
古代ギリシャ語においてアントロポス(Anthoropos)は「人間存在」を意味し、カイノス(kainos)は「最新の、新たな」を意味することから(このkainosというギリシャ語が、地質年代を表す際に用いられる現代フランス語の-cene(あるいは英語の-cene)という接尾後の語源である)、アントロポセーン(Anthropocene)、すなわち人新世は人間の新たな時代、人類の時代を意味する。
人新世は、「地球環境における人間の痕跡が今や広範で激しくなったことで地球システムの機能に衝撃を与え、自然の他の巨大な力に匹敵するようになった」という事実に特徴づけられる時代である。「人新世」p18第一部「その名は人新世とする」
このような捉え方は、21世紀も5分の1が過ぎてしまった現代の「地球人」たちにおいては、すでに共通の認識になっているだろう。「<地球と人類の時代>の思想史」「人新世」、「地質年代が示す人類と地球の未来」「現代思想」、「新しい地質粘弾」「日経サイエンス」などのサブタイトルを見ていると、内容やその取り組みの違いはともかくとして、ごくごく当然の認識であるように思える。
地球人スピリット・ジャーナルや、人と地球のカウンセラーを標榜する当ブログとしては、とても気になるキーワードなので、今後はこの単語が散発的に登場してくることも多くなろう。これらの書誌が発表されたのは、このごく数年に限られているところから見ると、日本社会ではまだ新しい語彙のようではあるが、おそらく数年来には、はっきりした概念も決定しないまま、社会に流布することになるのかもしれない。
さてその始まりをどこに置くかといえば、縄文人の登場の一万五千年前後にとる方法もあるだろうし、250年前の産業革命におくこともできるだろう。あるいは、20世紀からスタートした、交通と情報の爆発であるごくごく最近のことと見ることも可能だろう。多少の学術的な論争の後は、やや不納得のままなにか象徴的ななにかに集約されていくことになるのだろう。
思えば、すでに完全に陳腐化した新人類なんて語彙もあった。もうすこし様子を見ていたい流れではありますね。
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