「瞑想録: 静寂の言葉」OSHO <1>
「瞑想録: 静寂の言葉」<1>
OSHO (著), 中原 邦彦 (翻訳), 庄司 純 (翻訳) 2019/11 出版社: 季節社 単行本: 188ページ
No.4353 ★★★★★
ちょうど42年前、私はインドに行って、OSHOのサニヤシンになった。それは1977年の12月9日の夜だった。12月の8日は、仏陀の成道会だということは知っていた。日本の禅寺で参禅していたから、基本的な仏教のあらすじは分かっていた。12月11日は、OSHOの誕生日だった。彼はその時46才になった。私はその時23才、OSHOの半分しか生きていなかった。
翌年にスリランカに飛んで、藤井日達上人のもとで一か月、南無妙法蓮華経の御太鼓をたたいた。その時上人92才だった。OSHOの倍、生きていた。今私は65才。58才で肉体を離れたOSHOより、はるかに長生きしてしまった。私はこれからどれだけ生きるだろう。
一応95才を目標にスケジュールを立てているが、そんなこと、誰にも分からない。3年後に死ぬかもしれないし、いや3か月後、3日後、3時間? 3秒後? そんなことは分からない。95で逝くかもしれないが、それよりもっと長生きになるかもしれない。そんなことは分からない。103才? 110才?
でもとりあえず95を想定している。それはこれから30年後のことだ。これから30年たつと、シンギュラリティが起きて、世界がまったく変わっているかも、なんて考えると楽しい。誰が生き残っているだろう。友人の誰が、その時まで友人でいてくれるだろう。妻は、子供は、近隣の人々は・・・?
今日、12月8日は、パールハーバーの日でもあるし、ジョン・レノンの命日でもある。レノンの訃報を、私は、入院していたがんセンターの待合室のテレビで知った。あの時、レノン40才。私26才。あの時、私は余命半年を宣言され、死のベッドにいた。ルービック・キューブとポケット・コンピュータで遊んでいた。
生と死がないまぜとなり、この季節にはいつも、さまざまな思考や感情の波が押し寄せる。12月1日から一週間の仏陀の成道を記念する接心がある。今年は運よく禅寺で参禅することができた。7日間の夜だけだったが、その他の時間も、できる限り瞑想的に過ごした。朝は、毎朝自宅でナタラジを舞った。このところ、ずっと朝は、素晴楽堂と名づけた自宅の瞑想ルームで、ナタラジを踊る。そして、20分は座る。
緑内障も白内障にもなっておらず、多少飛蚊症は飛び始めたが、幸いかつて視力2.0を誇った我が両眼は、まだ達者である。ただし、老眼の域に突入してもはや何年もなる。廉価な汎用の老眼鏡で済ましてはいるが、日々視力が衰え続けていることは自分でもはっきりわかる。
しかし、もっとしっかりわかることは、本を読もうとする意欲が依然よりかはかなり減退していることだ。この読書ブログで4300冊を超える本を読み書きしてきたので、そろそろ次のことをしたがっているということもあるが、文字からだけ何かを得ようとするには、もう限界を通り過ぎている。
この「瞑想録: 静寂の言葉」は面白い。これまで聞いたことのない翻訳者による、これまで聞いたことのない出版社からの出版だ。新しい人々にOSHOが渡り、新しくOSHOが引き継がれていくことに快感を感じる。書かれている内容については、言葉としてなら、私にそれほど新鮮味はない。だいたい読み終えた本の中に、類似の表現を見つけることができる。
されど、本はガイドブックに過ぎない。観光ガイドで旅に出る人がいるとすれば本望だ。観光ガイドを読んでそのまま自宅で昼寝する人もいるのかもしれない。しかし、それもまた、よからん、と最近の私は思う。私がOSHOの招待状を受けた時は、「存在の詩」しかなかった。しかも、よく読みもしなかった。
だが、一節だけ、ある一節が私を揺さぶった。それは読書効果というよりも、放火されたようなものだった。私は乾いていた。ちょっとした火だけで、すぐに燃え上がったのだ。周囲の消そうとする消防効果など、まったく意味を持たなかった。それは強引なモノだった。拉致されたようなものだった。
「瞑想録」などというクリシュナムルティの本の類似のタイトルなので、ちょっと厚い本をイメージしたが、かなり薄い本である。本文も一章一章が短い。ほとんどが1ページの読みきりだ。講話録スタイルに慣れてきた身になれば、これもまた新鮮だ。元本はWords from a Man of No Words 2015
草むしり枯葉を掃いて年が暮れ 把不住
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