「ネット選挙」 解禁がもたらす日本社会の変容 西田 亮介
「ネット選挙」 解禁がもたらす日本社会の変容
西田 亮介 (著) 2013/05 出版社: 東洋経済新報社 単行本: 236ページ
No.4328★★★★☆
もう6年前の本である。今更という気がしないでもないし、内容もだいぶ修正して読まなければならない時期となっているだろう。そもそもネット選挙と言った時に、私なぞは、もっと革新的なことを期待していた。すくなくとも自宅で自分のPCから投票できること。そして、それが意味する事は、投票率が上がり、より正確な投票が反映され、デジタル直接民主主義の到来である、と、そう期待していたところがある。
ところがことはそうではなかった。ブロックチェーン技術の進歩で、選挙券のひとつひとつのセキュリティが改善し、誰もが自宅から投票できる、なんて夢の夢だった。足を運んだ先の投票箱だって、デジタル化されれば、どこかで必ず悪用されたり、曖昧にされてしまいそうだ。手で書くのが、今のところは一番なのだ。さらに投票数をカウントするだって、デジタル化されると、なんだか信用がおけない。
第二にデジタルデバイドが確実に進んでいるようんだ。若年層においてはネット活用はごく当たり前のこととなっているが、年配層は、スマホどころか、ケータイだって次第にやめてしまう家庭も少なくないようだ。ほとんどテレビオンリーという家庭もたくさんある。中年層だって、ケータイは声の連絡だけって人は多く見かける。
つまり、ネットは機会均等で、至って便利なインフラのように思っていたが、どうしてどうして、その活用度合いはかなり差があるのだ。見ない人は見ない。徹底して見ない。活用する奴は、徹底的に活用する。
むかし、お父さんのためのワイドショー講座なんて、というテレビ番組もあったが、昼間仕事で忙しい時間帯に、おかあさんたちは、ワイドショーで世の中のことをずいぶん勉強している。せめて金曜の夜くらいは、おとうさん、日中、テレビでどんなことやっているか知ってる? というような内容だった。
かつては新聞、ラジオ、テレビ、が大体のメディアで、一番信用のあるのは新聞だったが、今は新聞を購読していない層は増えていると思われる。かくいう私もすでにこの10数年、宅配新聞は利用していない。ラジオは、スポーツ中継や、緊急放送、あるいはバックミュージックなどに使う程度。やはり一番多いのテレビかも。されど、録画機能を活用して、自分の好きな番組を好きな時間にみるだけ。
ネットは、裏を取ったり、深堀するときには役に立つ。深堀しすぎて、一般性を欠いたり、フェイクやゴミをつかまされたりするので、ネット情報は扱い注意だ。だけど便利だよね。
で、ネット選挙だが、ネットやSNSで、仲間内でどんなに盛り上がっていても、投票率や得票率には、直接影響がない。まったく自分たちの盛り上がりが反映されないことが続くと、あれ、と白けてしまうことが多い。話題づくりはやはり一番はテレビですね。だからテレビにたどり着くまでのネット情報を積み重ねる、ってのが、今現在のネットの活用法ということになるのかな。
こういう結論って、正直、悲しい。
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