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2019/08/03

極私的コンビニ雑論

極私的コンビニ雑論

 1970年代末、一番最初にコンビニという存在を意識したのは、私たちの瞑想会に、東京から帰ってきた30才の男性がやってきた時だった。当時私はまだ25歳。コンビニ、って最近よく聞くようになったけど、なんだかカッコよさそうだなぁ、と思った。彼はコンビニ店長だった。でも、最近は暴走族のたまり場になってしまって、嫌気がさして帰ってきたという。そんなもんかな、と私は半信半疑だった。

 1980年前後以降、私は仕事であちこち各地を動き回ったが、コンビニというスタイルは、地方の商業にも大きな影響を与えていた。中央の大手はまだ登場しなかったものの、セブンイレブンならぬ、地元のエイトテン、という朝8時から夜10時まで開店しているコンビニなどが登場していた。

 でも営業は安定してなかったと見えて、並んでいる商品も、問題なしとはしなかった。ある店は困窮し始まって、雑誌コーナーに、なんと、ビニ本まで登場させた。現代のインターネットに比べたら、あまりにかわいい世界だが、薄っすらと、陰毛が透けて見えるようなアダルト本まで、ごく普通にコンビニに並んだ。もちろんこれは断末魔だった。この店は、このあと一年ほどで、消えた。

 80年代後半、私は一か月だけ、コンビニの店員をやったことがある。家族でインドに行っていて、4か月のインド体験のあとには、なかなか社会復帰は気が乗らなかった。そこで、夜間から早朝までのコンビニ店員をやったのである。

 この仕事はなかなか楽しかった。夜間、フロアにモップをかける時、私は、ブッダホールを掃除しているように心を入れて掃除した。雑誌コーナーを整理する時は、アシュラムのブックストアでワークしているような気分だった。おでんの釜を掃除する時は、アシュラムのキッチンのワーカーかなにかのように集中した。

 弁当の賞味期限が切れそうになると、オーナーの息子である店長は、近くの交番に届けた。本当は全部廃棄しなければならないのだが、彼は交番にゴマをすった。当時でさえ、夜間のコンビニ強盗はごく当たり前にあった。その時のために、オーナー&店長は、交番と協力大勢を組みたかったのだ。

 90年代になって、私はコンサルタントやカウンセラーとしてコンビニオーナーの話を聞くチャンスもでてきた。ある元オーナーはコンビニ会社を罵倒した。自分の店は10年近く優良店だったが、街道筋の両側に、おなじブランドの店が作られ、「挟さまれてしまった」という。すぐに彼の店は倒産した。マーケティングを駆使しているはずのコンビニ会社が、そんなことをするわけないと思ったが、いやいやそうではなかったのだ。

21世紀になると、地元コンビニチェーンは、一気に大手全国チェーンに呑まれて、3社か4社に集約されていった。地元の商店は、自立性、自律性を失っていった。そして、全国チェーン加盟店さえ、いつの間にか、シャッターコンビニとして消えて行った。地元の商店街を壊したあと、結局自分もシャッター化していった。ますます過疎化した。

 小学中学、高校と同級生だった友人は、20代から遠距離のタンクローリーを回し、ゼニを貯めたあと、コンビニオーナーの地位を獲得した。しかし、10年経過したあと、結局継続契約をしなかった(できなかった)。家族との軋轢もあったりして、結局、彼は50過ぎで突然死してしまった。

 兄弟の遊閑地にコンビニを作る話がでたことがある。誘われて、私はちょっと面白いかなと思ったが、結局経営権なしの店長扱いと分かった段階で拒否した。あの時、ふらふらした気分で参加していたら、私は自分の生活を大きく崩したばかりではなく、経済的損失、そして生命さえ、あやうくしていたかもしれない。

 現在でも、私はコンビニ利用は積極的ではない。困ったときのトイレ使用(プラス缶コーヒー一本)とか、夕方、郵便局が閉店してしまったあとの切手買いとか、お店にとっても、あまり有難くない客だろう。私は個人的には、セブンイレブンどころか、エイトテン(8am~10pm)営業で十分だと思う。24時間営業は必要ない。深夜、あれほどの電気と人材を使いながら、営業をしつづける意味があるのか。夜間の照明は、昆虫たちの生態系にも大きく影響してしまう。

 今回、れいわ新選組の10人の立候補者の中に、元コンビニオーナーの三井さんがいて、その話がとても説得力があることに気が付いた。この40年、コンビニは日本社会の象徴にさえなったが、いまや、ブラック企業の代表化しているのではないか。そもそもコンビニは最初の最初から問題を抱えていたのではなかったか。

 コンビニそのものというより、コンビニという節穴から、逆に日本の社会や経済を逆照射したら、とんでもない現代日本の矛盾が見えてくるのではないだろうか。

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