私的検証⑤「一次産業個別所得補償」
私的検証⑤「一次産業戸別所得補償」
これは、農家向きのスローガンだろうか。農政は難しい。この瑞穂の国、稲穂が波打つべき国土は、今、大きく揺らいでしまっている。今日も郡部の親戚の農家一家を訪ねてきた。かなり集約化して、大型化した、今となっては珍しい農家だ。彼らの「戸別所得」が補償されるなら、私は大歓迎だ。
だが・・・・。彼らの収入や所得を算定すること自体、なかなか難しいぞ。そもそもが数字に乗りにくいのが第一次産業だ。何でもかんでもゼニで換算するなんてできない。だからこそ第一次産業なのだ。おばあちゃんが一家の留守番をしていたって、数字には乗りにくい。将来、売れるかどうかわからない杉林の下刈りなんて、すぐに収益にはつながってこないぞ。
海だって、毎年毎年違う。あんまりざっくりとした表現では、何を言っているのか、分からなくなるのではないか。
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⑤「一次産業個別所得補償」
食料安全保障は国を守る上で最重要事項。あまりに低すぎる食料自給率を100%目指し大改革。
第1次産業に就けば安定した生活が送れるよう政府が個別に所得補償。「れいわ新選組パンフレット」より
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農家に生まれ、実家を離れ、実家が農業を廃業し、農村が崩壊して、老齢化し、農家の後継者が減り、やがて無人化されつつある状況を自分なりの身近な風景としてみている私としては、実はこの政策には若干違和感がある。若干どころではない。農業に対する姿勢が全く違う。
農家に生まれ、農業学校を卒業していながら、私自身が市民農園に参加したのは3・11以降である。いつかやろう、やろう、と思ってきたのに、踏ん切りがつかなかった。忙しい、面倒くさい、ゼニになるというより、ゼニがどんどんでていくような農業には、なかなか振り向くことができなかった。
だが、いざ始めてみると、これが楽しい。失敗の連続だが、楽しい。まだまだ一人前の口をきけるような立場ではない。一生まともな畑仕事にはたどり着けないだろう。職業人としては半端で、むちゃむちゃ勉強不足で、失敗しても懲りない、バカな市民農園参加者だ。でも楽しい。なんだか楽しい。ゼニのことを考えたら、プラスマイナス、マイナスだろう。
私は経済面から農業(一次産業)を考えることは絶望している。それはもう、この人生ではしないだろう。だが、面白そうだから、残りの人生、できるだけ深く関わろうと思っている。ただし、政治は政治だ。経済は経済だ。彼らが「政策」を表現しようとすると、こういう文言になるのかな。
⑤「一次産業個別所得補償」
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