「オン・ザ・ロード1972」<72>08/18 上高地 トラック
「オン・ザ・ロード1972」80日間日本一周ヒッチハイクの旅
「時空間」創刊号 1972/11/20 時空間編集局 ガリ版ミニコミ 102p 目次 全日程
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<72>1972/08/18 上高地 トラック
この日は、小中高時代のガールフレンドが働いているという、立山の山小屋を訪ねることにした。彼女が山に入ったと聞いたのは、今回の旅に出る直前。旅に出るから立ち寄るよ、と手紙は出していたが、その後すぐに出発してしまったから、その返信は受け取っていなかった。
彼女は高校生時代から、もう一人の同級生と、福島県内の山中にある廃校を借りて何事かしようというプランを持っていた。いやはや勇ましいなぁ、と見つめていたが、結局は、立山の山小屋ペンションに修行に旅立ったのである。
はてさて、どのように成長したかなぁ、と再会するのが楽しみだったが、いざペンションに到着してみると、体調を壊し、ずいぶん前に下山したよ、とのことだった。う~ん、残念。あよなぁ、なかなか難しい。それきり、彼女とは連絡が途切れてしまった。
彼女は、高校生時代、今となって考えれば、謎解きのようなセリフをつぶやいていた。「男と女って、友情で一生付き合っていけるのかしら・・・?」
ん?と思った。それは当然、ありうるよ。僕たちは一生友達でいようよ。
その私の返答は、いかがなものだっただろうか。今となっては取返しがつかないが、謎のような問いに、18才の私は、ひょっとすると、頓珍漢な答えをしてしまったのかもしれない。反省しきりだ。
結局彼女はその後、一浪して中部地方の大学に入学したらしい。それっきりの今世の付き合いになったが、今でも後ろ髪引かれる思い出である。
この日はトラックにヒッチハイクした。ダンプのような石材を運送するガッチリした運送車だった。その運転手は、もと力士のガッチリした体躯の頑強な男性。まだまだ若い優男だったが、石材運送業としては、実にぴったりだと思った。
ほら、あそこの山肌が削られているだろう。あれは、数日前の嵐で崩れて全国ニュースになった被災の現場だよ、と説明してくれた。だが、もうすでに数か月旅暮らしの私には、新聞も見ていなかったので、全然、そんなことに気づいていなかった。
そんなことより、彼女はどうなったかなぁ、と上の空で、元力士の運ちゃんの説明を聞き流していた。
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