「『サピエンス全史』をどう読むか」 ユヴァル・ノア・ハラリ他
「『サピエンス全史』をどう読むか」
河出書房新社編集部 (編集) 2017/11 河出書房新社 単行本: 144ページ
No.4248★★★★☆
巻頭のハラリVS池上彰の対談が30ページほど続き、続いて7人ほどの論客が評論している。巻末には関連のブックガイドがついているが、読むべきは巻頭の対談だけだろう。そして、留意すべきは、わずか数行のセンテンスだけだ。
重要なのは、人間の心と意識を理解するためにもっと努力をすることです。私たちは体と脳の理解のために大きな努力をしていますが、私たちの問題の根源は脳ではなく心です。
人間の不幸と幸運の根源は心のパターン、私たちの心のパターンなのです。残念なことに現在、科学の世界でも心の理解は重視されず、体と脳の理解に集中されすぎています。
技術の進歩によって私たちの身体と脳を巧みに操作し対処する大きな能力を獲得することができるかもしれませんが、このままではそれをどう活用してよいのかわかりません。
自分自身にとって、そして人生にとって何が重要か、そして幸福と不幸の根源が何かを本当に理解するには、体や脳を理解するだけではなく心を理解する必要があります。p36ハラリ
心ではなく、「無」心こそ究極だ。科学、芸術、意識(無心)、三つの要素のバランスを取りながら、結局、科学は意識によってコントロールされる必要がある。このセンテンスにおいては、ハラリはようやく意識について到達しただけで、そこから延々と再スタートしなければならない。
だがしかし、すでに、意識については、すでに別な角度から充分に研究されつくされている。ハラリが「科学的」スタンスを崩すことなく世界観を作りあげているとしても、それを「意識」とつなぐ「アート」に遭遇しなければ、サピエンス「全」史とはならない。
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