「表具図面集」 清水研石
「表具図面集」
清水 研石 (編集) 1999/06 雄山閣出版 単行本: 308ページ
No.4256★★★★★
これまた、なんという本であろう。ずっしりとした重い本。硬い表紙に囲まれて、数百の掛軸の寸法だけを書いている本である。なんと退屈な、と手にとった最初は思った。しかし、前後に書いてある、ほんの短い遠慮がちな文章を読みながら、私の感想は逆転した。
表装の世界にも、生まれつきの才能があり、環境に育まれる伝統があり、努力によって磨かれる技術がある。そして、その技術、形、色、そのどれもが必要とされるのである。
この本には一切、色は出てこない。本紙とされるべき文字も出てこない。単なる寸法だけである。されど、この本を見ていて、じつにその形がバランスよく、そこから色のついた画像が飛び出してきそうな気がしてくるから不思議である。
盗まれる技術もあるだろうが、一子相伝で受け継がれてきたものもあるという。この本はその一子相伝の部類に属するものだそうだ。さらには口伝というものがあり、この本にさえ表されていない芸術の世界がありそうだ。
とにかく、この寸法表を見ているだけで、なんとも幽玄な世界に引きずり込まれていくから、不思議である。
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