「NHK 美の壺 表具」<2>
「NHK 美の壺 表具」 <2>
NHK「美の壺」制作班 (編集) 2007/01 NHK出版 単行本(ソフトカバー): 70ページ
★★★★★
今回の表具・表装関連の読書の中の、最後の三冊には残らないだろうが、この本もまた重要な位置にある一冊である。いつもテレビで見ている番組「美の壺」シリーズの一冊であり、その視点の確かさ、親和性、信頼性などから、なるほど、の一冊である。
納得すべき点は様々あるが、そもそもはチベット仏教のタンカにもルーツがあるとするところは、そうなのか、と新しい視点を与えられた気分になる。したがって、日本に仏教が伝わってくる頃に、付随した文化として、表具・表装が渡来したのだ。
そしてそもそもは仏画や高僧の墨蹟を鑑賞し保存する技法であったのだが、日本独自に発展していく茶道などとともに、もう少し幅を広げて、芸術性を深めていった。
ここまで見て来て、まだはっきりとした用語の違いを発見していないのだが、敢えてここで仮定しておけば、作品を鑑賞や保存のために処理する技術のことを表装といい、その技術を施された作品一つ一つを表具という傾向があるようだ。
当ブログに廃物アートの一環としての技法は、そもそもが手元の廃物を材料としているのであり、作品そのものも、身近な家族や友人、廉価なありふれたものを目的としているのだから、そのものを宝のように拝するのでないかぎり、表具とまで尊敬していうほどでもないだろう。
されど、その美の深さを学ぶために学ぶのが表装だとするなら、必ずしも伝統的ではなくても、これまでの人々がどのようにその技法を発展させてきたのかに注視するためにも、表装という言葉に留意していく必要を感じる。
この本においても、現代日本人の暮らしの中から床の間が消えているとの嘆きが聞こえてくるが、本格的なものではないにせよ、わが家には小さな床の間と和室が付随している。せめてこのコーナーを生かす意味でも、表装という技法にもうすこし親しみたいと思う。
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