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2018/06/24

「さとりサマーディにて」<34>爪‎

<33>からつづく

「さとりサマーディにて」 

<34>爪‎      目次 

 週に二回、母のマッサージを頼んでいる鍼灸マッサージ師O師より連絡がくる。どうも足爪が伸びているようで、靴下の上げ下げも不自由になってますよ。そう、そう、そうなのだよね。それは自宅にいた時から分かっていた。だけど、なかなか家族では手が付けられない。

 外科医をしている孫の一人が見舞いに来てくれた時に、ヤスリを持ってきて処理してくれていたが、施設に入ってからは、スタッフにお願いするのみだ。入浴後の柔らかくなってあとに切ってくれているようである。

 されど、97歳ともなれば、足爪の状態も尋常ではない。あるいは曲がり、あるいは消滅し、あるいは水虫っぽくなり、硬くなり、一本一本、実に様々なコンディションである。家族にも、スタッフにも対処できる方法は限界がある。

 そこでO師のアドバイスで、近所の巻き爪クリニックの往診を頼むこととした。この数年、わが家近くの大通りにその支店ができていた。爪だけの処理だと、医療行為にはならなず、保険は対応しないそうだ。

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 初診料、出張料も含めて、小一万かかる。まぁ、しかしそれでも評判のよいクリニックらしく、最近チェーン店化している。安心して頼んでもいいのではないか。家族の意見もまとまり、往診を依頼することに。

 往診してくれたのは、介護福祉士の資格を持つ中年の女性。なかなか老人に対する態度も素晴らしい。どうやら、そもそも福祉施設のスタッフとして10数年にわたって勤務していたらしい。

 靴下を脱がしてチェックし、一通り付き添いの家族に説明したあと、電動のヤスリで削るべきところは削り、ニッパーのような大き目な爪切りで、切るべきところは切り、磨くところは磨く。本人の感想も聞きながら、慎重に作業が進む。

 およそ小一時間。処理は終わった。幸い巻き爪化している指はなく、水虫化している爪も最小限らしい。緊急の追加処理は必要ないという。これで家族も一安心。本人も気持ちいい、と言っている。

 後日O師にも確認してもらい、今回は、まずは一件落着かな。それでもやっぱり、爪はまた伸びてくるからなぁ。常時要チェックだな。

<35>につづく

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コメント

誤解を招くといけないが、いや、すでに誤解されているだろうが、そしてさらには裏側も全部見通されているだろうが、さとりとは母親の名前である。そして、彼女の住んでいる施設の空間をサマディと呼んでいるに過ぎない。
書き始めた当初は、文字通りの世界へと漂っていけばいいな、と努力はしたのだが、そうはならなかった。ない袖は振れないのである。ありのままで行こう。素で行こう。

投稿: Bhavesh | 2018/07/24 07:55

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