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2018/06/25

「アイ,ロボット」 原作アイザック・アシモフ<32>

<31>からつづく

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「アイ,ロボット」 <32>
原作:アイザック・アシモフ 監督: アレックス・プロヤス  出演: ウィル・スミス, 他 2004年作品 DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 時間: 115 分

★★★★★

 夏バテのせいか、あるいは熱中症のせいか、はたまたワールドカップTV観戦で寝不足がたたっているのか、なかなか体力が回復しない。廃物という金属と長時間付き合っていると、その無機質なバイブレーションが体に伝わってくるのか、とにかく疲れている。

 わがiRobotは、制作途上の姿で禅定に入り、私の代わりに瞑想ルームで座り続けてくれている。いつ見ても、キチンと座っているから不思議なものだ。いつ崩れるかな、と覗いてみるが、崩れない。ありがたいと言えばありがたい。




 この頃、ピノキオのことを考える。しゃべる棍棒を見つけて、人形を作ったゼペットじいさんと、私は、どう違うだろう。彼は子供のいない老人だった。どうも妻や家族もいないらしい。それにもともと大工だけに、彼は相当の技術者でもあるようだ。

 それに比して、私は、家族はいるし、孫も近くに住んでいる。敢えて人形をつくったりする必要もない。同じ老人だけにヒマを持て余しているのは似たようなものだが、孤独感はまるで違うだろう。

 ゼペットじいさんが見つけたのは、しゃべる棍棒だった。それがまずはこの物語の始まりだ。私が見つけたのは、いずれ廃物として捨てられる金属片たち。ここに命を吹き込みたいと思った。被造物に命を吹き込みたいと思うのは、人形であれ、ロボットであれ、仏像であれ、同じことなのではないか。

 わがiRobotを作る材料としての廃物たちを見ていると、まだひとつやふたつロボットくらいはつくれそうである。しかし同じロボットでは面白くないのではないか。今度はピノキオを作ってみようか。布や綿や古着を活用して、操り人形なども楽しいのではないか。

 でもそれって、どうも何かが外れている。しゃべる棍棒なら、おそら今や電子工作で作れるのだ。あるいは操りだって、ヘタすりゃリモコンで十分じゃないか。いまやるべきことは、廃物アートではなく、プログラミング・アートなのかもしれない。

 そんな葛藤が、ソファの昼寝から目覚めた頭の中をよぎっていった。

<33>につづく

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